腸活ガイド

QOLとヘルシーライフを支える腸活!

人生100年時代を元気に過ごすカギは、腸にあります。
食事や生活習慣を見直して、
からだの内側から整える腸活を始めませんか。

原稿提供・監修

杏林大学医学部付属病院
皮膚・排泄ケア認定看護師

平山 千登勢さん

腸活ガイド

原稿提供・監修

杏林大学医学部付属病院
皮膚・排泄ケア認定看護師

平山 千登勢さん

今の世の中は…

超高齢社会と人生100年時代

日本は、5人に1人が75歳以上の後期高齢者となる超高齢社会を迎え、平均寿命が男女共に80代の人生100年時代とも言われるようになって来ました。(2024年の平均寿命は女性が87.13歳で、世界でも1位、男性は、81.09歳と世界6位)

がん・感染症・環境変化による健康リスク

高齢化に伴い、身体機能や認知機能が低下する人が増加する事は容易に予測ができますし、『2人に1人はがん』と言われるくらい、がんサバイバーシップ時代でもあります。

一方、COVID‐19(コロナ)やMPox(サル痘)、インフルエンザ、AIDSといった世界規模で拡大している感染症も多く、21世紀はウイルス戦争と言われるほど、様々な感染症と戦っています。また、地球規模の温暖化による高温環境は、呼吸機能の低下を引き起こしやすく、加えて大気汚染によるPM2.5やオゾン、硫化硫黄などで、閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支炎や上気道炎などの非感染性呼吸器疾患が増加する事が懸念されています。

その他、不眠症やうつ病、高血圧や糖尿病などの成人病、花粉症や、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどの様々なアレルギー症状なども温暖化による環境変化が影響して、増加すると言われています。

これらの病気は、免疫細胞がダメージを受けたり、免疫機構の機能低下が発症の引き金になることも分かって来ました。

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人生100年時代を健康的に過ごすために

人生100年時代を健康的に過ごすには、免疫細胞のダメージを最小限にして、活性化する事が鍵を握っているといえるでしょう。

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なぜ腸活か?

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腸は「人体最大の免疫器官」

免疫とは、体外から、侵入してくるウイルスや、細菌、体の中から生じる、がん細胞など、私たちの健康に有害なものから体を守る、防御システムの事です。

腸は、食べ物を消化・吸収する器官ですが、同時に、免疫細胞が、たくさん集まっている器官でもあります。

体全体の、約60%もの免疫細胞や、抗体が集まっていると言われていて、腸は、「人体最大の免疫器官」とも、言い換えられます。

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腸内細菌が腸内環境を整える仕組み

私達の腸には、約1000種以上、約100兆個くらいの、細菌が住み着いている、と言われています。
皮膚や、口や鼻などにも住み着いている常在菌は、十数兆個もいて、人体の中で一番多く住み着いているのが腸と言われています。この常在菌を「腸内細菌」と呼んでいます。

腸内細菌は、大きく分けて、3つの菌に分類されていて、腸内環境を整えています。 

善玉菌は、糖分や食物繊維を食べて発酵させ、乳酸や酢酸などを作り出し、腸内を弱酸性に保ちます。

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悪玉菌は、腸内で有害物質を作り、アルカリ性へ傾けて便秘や病気の引き金になるなど、悪いイメージもありますが、肉類などのタンパク質を分解して、便として、処理排泄する、という、私たちの身体に、大切な働きをしてくれる、必要不可欠な存在でもあります。

日和見菌は、どちらにも属さないのですが、善玉菌が増えると、善玉菌の味方について、腸内改善の発酵活動を行います。一方で、悪玉菌が優勢になると、悪玉菌になびいてしまい、腐敗活動をして、腸内をアルカリ性に傾けます。

善玉菌・日和見菌・悪玉菌の違い

分類 代表的な菌 はたらき 体への影響
善玉菌善玉菌イメージ ・ビフィズス菌
・乳酸菌
・酪酸菌
乳酸や酢酸作り、腸内を弱酸性に保つ ・免疫力増進
・感染防止
・細胞の老化防止
日和見菌日和見菌イメージ 大腸菌(無毒株)
・バクテロイデス菌
・連鎖球菌
善玉菌か悪玉菌の優勢な菌と同じ働きをする 善玉菌や悪玉菌を増やす
悪玉菌悪玉菌イメージ ・大腸菌(有毒株)
・ウェルシュ菌
・ブドウ球菌
毒性物質を作り、腸内をアルカリ性にする ・免疫力低下
・老化促進
・病気の引き金

腸内を酸性に保つことの大切さ

腸内は、酸性に傾くと、悪玉菌の増殖が抑制され、毒性物質が作られなくなります。また、外から入ってくる、悪玉菌のほとんどは、アルカリ性の環境を好むため、仮に腸内に入って来ても、酸性の環境であれば、悪玉菌は死んでしまいます。

理想的な腸内フローラのバランス

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図は、腸内フローラの、理想的なバランスを示したものです。「善玉菌2割・悪玉菌1割・日和見菌7割」が、良いとされていますが、腸内を酸性に維持するには、この、日和見菌を善玉菌の味方につける事が必要です。同時に、菌の種類も多様性がある方が、代謝や吸収がスムーズに行われやす、免疫機能も向上すると言われていますので、菌の種類を増やす事も大切です。

私たちの腸は、毎日、善玉菌と悪玉菌の縄張り争いで、腸内フローラのバランスが変わっていて、生まれた時から始まり、年齢と共に変化しています。

例えば、乳児期には100億個以上あったビフィズス菌(善玉菌)は、50~60歳ごろには100分の1ほどの、1億個くらいに減って、腸も老化していく事が分かっています。

腸内フローラの乱れと病気の関係

ですが、年齢に関係なく、炎症を引き起こす菌や、脂肪を体内に貯め込みやすい・肥満に傾きやすい菌、免疫機能が低下しやすい菌などが増えたりして、腸内フローラのバランスが崩れてしまう、乱れてしまうと、様々な病気を引き起こす誘因になります。肥満や糖尿病、炎症性の腸疾患などは、そもそも腸内フローラが乱れている事が分かっていますし、よく使用する風邪薬や抗生剤、抗がん剤なども腸内フローラが乱れるが知られています。近年の研究では、また、腸内環境は、食べたものに大きく左右されますが、脂肪や、たんぱく質の多い食生活などは、腸内フローラを乱しやすいと言われています。

腸内環境を整えるために必要なこと

腸内フローラを、良いバランスで維持し、活性化するには、栄養バランスのとれた食事だけではなく、適度な運動も必要だと言われています。腸内環境を整え、免疫細胞のダメージを最小限にして、活性化する事が健康に繋がっていきますので、『腸活』が現代を生きる私達の健康法の切り札になると思っています。

腸活って?

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腸活とは何か

腸内細菌は、体の調子を整えてくれたり、便性を整える上で、とても大きな役割を担っている事が分かって来ました。腸活とは、食事や、生活習慣を見直して、腸内環境(腸内フローラ)を整え、免疫力向上や、健康に繋げる、『腸内環境、活性化、活動(行動)』の事です。

腸内フローラのバランスを整えるには

腸内フローラ(細菌叢)は、生治活習慣、食事、ストレス、内服薬など様々な影響を受けて、バランスが崩れていきます。このバランを整える上で、プロバイオティクス、プレバイオティクスを積極的に取ると良いと言われています。

プロバイオティクスとは

プロバイオティクスイメージ

プロバイオティクスですが、定義は、健康効果を発揮する生きた微生物、という事で、簡単に言うと、人に有益な作用をもたらす生きた微生物で、配合されている物を摂取すると、腸で増殖する…という製品です。

2017年に慢性便秘のガイドラインが出ましたが、プロバイオティクスは、排便回数増加に有効で、治療として推奨されています。ヤクルトやカルピス、ヨーグルト、整腸剤、甘酒や、ぬか漬けなどの、発酵食品などもその一つです。整腸作用がうたわれている物だけでなく、胃の負担を軽減したり、内臓脂肪の減少に効果がある物、最近は感染症にも効果があると言われている乳酸菌が配合されている食品など、菌が持つ特徴で様々な効果が期待されています。

プレバイオティクスとは

プロバイオティクスイメージ

プレバイオティクスは、大腸に常在する特定の菌の増殖や活性化を促す、難消化性の食品成分の事で、大腸の良い菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑える食品で、食物繊維やオリゴ糖などがそうです。良い菌が増えるために、餌なるので、排便障害がある人には、特に多く摂取して貰いたいです。2017年に出た便失禁ガイドラインでも、食物繊維は、保存療法の一つとして推奨されています。近年、食物繊維の摂取量が低下していると言われていますので、野菜をたくさん摂取するのが難しい方は、食物繊維のサプリメントなどを上手にと入り入れて頂くと良いでしょう。

シンバイオティクスとは

シンバイオティクスは、食物繊維やグルタミン、オリゴ糖など、プロバイオとプレバイオを一緒に摂取する事、または、両方の機能を一緒に含む食品の事です。シャンピニオンゼリーも、乳酸菌とオリゴ糖が入っているシンバイオテヒクスの商品です。善玉菌を増やし、ガスの発生の抑制と臭い軽減の効果が期待できます。

排泄障害を整える食事のポイント

排泄障害を整える食事の注意点

種類 働き 食品例
不溶性繊維 腸内容物の体積を増加させ、腸蠕動を促進する。 玄米、豆類、ゴボウ、タケノコ、キノコ、芋類、ブラン(植物性多糖加工食品)など
水溶性繊維 水分を吸収し、便を軟らかくする。腸内を酸性にし、病原菌の増殖を抑える。 海藻類、コンニャク、オクラ、果物など
発酵食品 腸内細菌叢を改善し、乳酸菌、ビフィズス菌を増やす。 納豆、チーズ、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、味噌など
その他 食品に含まれる化学物質が腸蠕動運動を促進する。 タマネギ、ニンニク、ネギ、オリーブオイル、サツマイモ、アロエなど

排泄障害を整える基本的な注意点は、排泄の材料となる食事を3食しっかり食べる、基本的な事ですが、排便障害では食べていないから便秘になっている方も多く見受けられます。特に排便障害では、食物繊維などの便通を整える食品を摂取する、下痢や便秘、頻尿に傾きやすい嗜好品や刺激物を控えめに、腸の動きを整えるグルタミンや、腸内細菌を整える、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスを上手に取るようにして、水分は制限が無ければ約1~1.5ℓの摂取を勧めます。上記の表は、主に便性を改善する際に紹介している、食品の一部をお示ししています。

食事の際に意識してほしいポイント

  • しっかり必要な物を食べる
  • 食物繊維や発酵食品など、便通を整える食品を摂取
  • 嗜好品や刺激物を控えめに(お酒、香辛料、脂肪、糖の過食)
  • グルタミンを多く含む製品を摂取
  • プロバイオ、プレバイオ、シンバイオで腸内細菌を整える
  • 水分は、1000〜1500ml程度取るようにする

腸活に取り入れたい工夫

  • 食事の改善やプロバイオ・プレバイオ・シンバイオティクスを開始したら、2〜3週間程度は様子を見る
  • ヨーグルトや乳酸菌飲料などは、食後に摂取すると効果が出やすい(胃で溶けない物であれば食前でも良い)
  • 最初は同じ種類の物を2週間続け、その後は違う物を周期で変えて摂取すると色々な菌が活性化する
  • プロバイオ・プレバイオ・シンバイオティクスを開始後も、下剤や止痢剤、整腸剤の併用は可能
  • 下剤や止痢剤は、大量に内服せず少量にして、それでも改善が無ければ、2〜3週間で増量を検討する
  • 食物繊維のサプリは、食前に摂取する方が効果的

腸活を支える運動習慣

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腸活に取り入れたい適度な運動

適度な運動とは、どのくらいか…という事ですが、30分くらいのウォーキングや、15分くらい手足や腹部・腰などの屈伸運動をだけでも良いという研究報告もあります。

無理なく継続できる運動の工夫

具体的な運動の工夫ですが、肥満改善や脂肪減少、夕方や夜の運動で夜間尿量の減少、夜間頻尿や便通改善などが期待できます。フレイル・生活習慣病ガイドラインなどにも、30分程度のウォーキング程度認知症の予防にも効果があるとされています。運動機能障害で困難な場合は、身体を起こしたり、深呼吸や、腹部や、下肢のマッサージをするだけでも良いです。ストレッチなどを取り入れて、日常生活の中でちょこっちょこと、数回に分けて、繰り返し動かす事を意識したり、継続できて、快適で、楽しい、気持ちが良いと感じる運動をすることが、ポイントです。痛みや故障につながるような無理はせず、できれば、骨盤底筋を意識して、一緒に動かす様にすると良いでしょう。

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ぶらぶら運動

手足や体をリラックスさせて、心地よい範囲でブラブラと揺らす運動

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ストレッチ体操・筋肉トレーニング

体の柔軟性を高め、けがの予防や基礎体力の維持につながる

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深呼吸(腹式呼吸)や脱力による緊張緩和を体得する

鼻から大きく息を吸って、口から息を吐きながら力を抜く

全身に力を入れて、息を吐きながら力を抜く

平山 千登勢さん

原稿提供・監修

杏林大学医学部付属病院
皮膚・排泄ケア認定看護師

平山 千登勢さん